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復興へ向け、力強く施策を展開(復興事業計画の重点施策) (後半) 「東日本大震災・いわき市復興のあゆみ2013」記録誌及びDVD(平成26年3月11日発行) | いわき市役所

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(1)

−22− −23− イ 平成25年度の検査結果と体制

 平成25(2013)年度の検査については、県などが実施主体となっ ていわき市分について、平成23(2011)年3月11日時点で県内に 住民登録があった18歳以下の6万1,834人を対象に、平成25年4月 から同年10月まで実施しました。(写真6-8)

 12月31日現在、受診者は4万5,860人で、受診率にして45.0% です。

 検査の結果、「A判定」が4万4,752人(99.2%)、「B判定」が 381人(0.8%)となりました。この結果は、他市の検査結果と同 様の割合となっています。

 検査結果については、県が受診者宛に個別に通知するとともに、

さらに放射線の影響に関する知識、長期にわたり子どもの健康を見守る甲状腺検査の意義などを伝えるため、 きめ細かい説明会などを数多く開催しました。

 未受診者で検査を希望する方、または検査実施の内容が届いていない方は、福島県立医科大学ふくしま国 際医療科学センター放射線医学県民健康管理センター(電話024−549−5130)へお問い合わせください。  本市における、これまでの検査結果としては、対象者62,176人のうち、受診者は46,201人となりました。 また、受診者のうち、検査結果が確定した45,474人の判定内容は、A1判定が19,894人(43.7%)、A2判定 が25,196人(55.4%)、B判定が384人(0.8%)となっており、C判定については、該当者はいませんでした。  福島第一原子力発電所の事故との因果関係については、事故前と同様な調査を行っていないため明らかで はありませんが、震災後に福島県以外の他市で実施した甲状腺検査結果とほぼ同様であり、説明会を開催し て情報の共有化を図りました。

③ 食品など放射性物質の検査

ア 食品

 市内の公立および私立の保育所や幼稚園、学校におけるそれぞれの給食、市内で製造された加工食品や市 内に流通する食品を対象とした放射性物質の検査については、平成24(2012)年から随時実施してきました。  その結果、平成24年度分の結果については、いずれも検出限界値未満(不検出)、あるいは基準値以下であり、 いずれも健康に影響を与える数値ではないとされている1ミリシーベルトを大きく下回りました。

 平成25(2013)年4月1日から平成26(2014)年1月31日までの結果については、加工食品の1件を除き、 いずれも検出限界値未満(不検出)、あるいは基準値以下でした。

 加工食品で検出された基準値超過の1件については、販売前の段階で検査を実施したため、流通していま せん。(表6-8)

■写真6-8 甲状腺検査の様子〔平成25(2013)年  8月 いわき市撮影〕

■表6-8 平成25年度における食品などの放射性物質検査結果(平成26年1月31日現在)

事業名 保育所給食

(食材検査) 保育所給食

(調理後検査)

4,733 4,732

(99.9%) (0%)0 (0.1%)1

(調理後検査)学校給食 147 (100%)147 (0%)0 589 586

(99.5%) (0.5%)3 0.43ベクレル/㎏

10.19ベクレル

/㎏

170ベクレル

/㎏

(食材検査)学校給食 9,670 (99.9%)9,660 (0.1%)10

加工食品 293 291

(92.7%) (0.3%)1 (0.3%)1 区分 検体数

(件) (件)不検出 基準値以下(件) 基準値超過(件) 最大値

検査結果 備考(検査結果の最大値と健康に影響を 与えるような数値ではないとされる1ミリ シーベルトとの比較)

検出値が0.43ベクレル/㎏の給食を毎日、 200g、1年間食べ続けた場合の内部被ば く線量は、「3∼7歳」の例で示すと、 0.0003ミリシーベルト。

食材提供前日の詳細検査で検出された1 件については、給食食材として使用せず。

基準値以下については、簡易検査で10ベ クレル/㎏を超えたものである。それに ついて詳細検査を実施した結果は、すべ て市独自基準値(セシウム合算値20ベク レル/㎏)未満でした。

検出値が170ベクレル/㎏の梅干を毎日1個 0、1年間食べ続けた場合の内部被ばく

(2)

④ 安全確認のため、市内農産物や一次農産加工品をモニタリング検査

ア 基準値を超えた場合は、出荷制限へ

 平成24(2012)年度のいわき産農作物安全確認モ ニタリング検査では、市内農業者が出荷する農作物 や同じく一次農産加工品、合わせて6,585件を測定 しました。(写真6-9)

 この結果、基準値である1㎏当たり100ベクレル以下 であった検体が、全体の99.8%を占めました。同 100ベクレルを超えたのは全体の0.2%、10検体で、い ずれも出荷の自粛要請を行いました。

 同じく平成25(2013)年4月から平成26(2014) 年1月末の検査結果では、測定検体6,091件中、同 100ベクレルを超えたのは全体の0.1%、2検体で、同 様の措置を講じました。(図6-17)

 農産物の出荷制限などについては、原子力災害対 策本部長(内閣総理大臣)が県に対して行っており、 県・市が出荷の自粛要請した農産物を含め、平成25 年11月29日現在で野生キノコ、露地の原木ナメコ、 野生タラノメなど9品目が出荷制限となっています。  出荷制限などの解除にあたっては、いずれも一定 期間、市町村の複数個所で検査結果のすべてが基準 値以下となり、解除指示を受けることが必須となり ます。

 検査品目やその検査結果、採取地などの情報につ いては、市のホームページ「見せます!いわき情報 局」で見ることができます。

イ 検査体制

 平成25(2013)年度もこれまで同様、いわき産農作物の透明性を高め、その信頼性を回復させるため、引 き続き市内二つのJAと連携して徹底した検査(市内6か所)を実施することにより、消費者などに対し安全・ 安心の判断材料の提供に努めています。

⑤ 自家消費用作物などの放射能簡易検査

ア 市内21か所の検査場所で測定

 市は、出荷または販売などを目的としない自家消費用の作物について、平成24(2012)年度は市内21か所 ウ プール水

 市内の公立および私立保育所や児童館のプール水については、平成25(2013)年6月から同年7月にかけ て実施。検体数50件のいずれも、昨年度に続き検出限界値未満(不検出)でした。

 市内の公立小・中学校および公立幼稚園のプール水については、検査の結果、検体数124施設(386件)中、 6施設で放射性セシウム137がわずかに検出されましたが、いずれも基準値(水道水の管理目標値=放射性 セシウム10ベクレル/㎏)以下で、福島県生活環境部原子力安全対策課放射線監視室からは、「プールを利用す るうえで、問題となる数値ではない」と報告されています。

イ 飲料用井戸水

 生活に欠くことのできない飲料水のうち、飲料用井戸水については、平成24年度に続き実施しており、平 成26(2014)年1月末現在で80件すべてが検出限界値未満(不検出)でした。

■写真6-9 出荷農産物を  測定検査・分析  〔いわき市撮影〕

10Bq/kg未満 6,130(93.0%) 10∼50Bq/kg以下

428(6.5%)

50∼100Bq/kg以下 17(0.3%)

100Bq/kg以上 [基準値以上] 10(0.2%)

基準値以下(99.8%) 6,585件検体数

■図6-17 いわき産農作物安全確認モニタリング検査の結果

(3)

の検査場所を設け、9,420件を測定。この結果、基準値である1㎏当たり100ベクレル以下であった検体が、全 体の90.6%を占めました。同100ベクレルを超えたのは全体の9.4%、883検体でした。基準値を超えた作物で多 かったのは、シイタケ388件、タケノコ132件、ユズ53件などでした。

 同じく平成25(2013)年4月から平成26(2014)年1月末の検査結果では、測定検体6,362件中、同100ベクレ ルを超えたのは全体の8.2%、521検体で、割合として数は減っているものの、シイタケ192件、タケノコ53件 などで検出されました。

⑥ 安全・安心へ向け、本格除染を実施

ア 比較的線量の高い地域から、順次除染を実施

 「放射性物質汚染対処特措法」(除染関係については平成24年1月施行。以下「法」)では、空間線量の高 い警戒区域などについては国が直接除染しますが、いわき市のように比較的空間線量が低く、国直轄から除 かれた区域については、除染対象区域を大字単位などで明確に定めたうえで、個別に除染実施計画を策定し、 環境大臣の承認を得る必要があります。

 市は早期に除染に着手する必要から、政府が法施行以前に策定した「除染に関する緊急実施基本方針」に 基づき、平成23(2011)年9月の文部科学省の航空機モニタリング結果などを参考に、同年12月、「市除染 実施計画(第1版)」を策定し、重点的に調査測定をすることが必要な地域となる「汚染状況重点調査地域」(平 均的な追加被ばく線量が1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の地域を含む、8県104市町村。年間に換算すると 1ミリシーベルト)として国から特例措置として指定されました。これにより原則、市の除染計画に盛り込まれた 測定や除染に関する費用は、国負担となりました。

 市はこの計画に基づき、比較的線量の高い川前、久之浜・大久、小川、四倉の4地区の住宅およびその周辺、 さらには子どもにとって身近な生活空間となる保育施設や教育施設などについて、順次除染を実施してきま した。

イ 市除染実施計画の第2版を策定し、実施へ

 除染に関する法の施行(平成24年1月)以降、新たに法に基づき区域を細かく定めて実施することが必要 となったことから、市は平成25(2013)年3月に、第1版を改定した「市除染実施計画(第2版)」を策定し ました。新しい除染実施計画の特徴は次のとおりです。

〔1〕平成23(2011)年9月の文部科学省の航空機モニタリング結果で、区域面積の50%以上が0.23マイクロシーベ ルト/時以上となる大字

〔2〕〔1〕以外の大字について、市独自のモニタリング結果で、区域内平均が0.23マイクロシーベルト/時以上とな る大字

〔3〕〔1〕〔2〕以外で、大字内に所在する学校など、子どもにとって身近な生活空間内のモニタリング結果で、 敷地内平均が0.23マイクロシーベルト/時以上となる施設など

イ 検査体制

 平成25(2013)年度も引き続き、市内21か所で自家消費用作物などの放射性物質検査を実施しています。 検査は、事前予約制となっており、市食品放射能検査受付センター(電話38−7182)で予約を受け付けています。  また、検査結果については、市農政水産課(電話22−7471)で取りまとめ、すべて市公式ホームページで 公開しています。

(4)

【除染実施区域の設定】

 区域設定の単位について、「大字」を原則とします。設定基準は、次のモニタリングで空間線量率が0.23マ イクロシーベルト/時以上となる区域などで、次の区域が該当となります。(図6-18)

川前地区

三和地区

小川地区 久之浜・ 大久地区 四倉地区

平地区 遠野地区

田人地区

勿来地区

小名浜地区 常磐地区 内郷地区 好間地区

注)1「■」=平成23(2011)年9月の文部科学省の航空機モニタリング結果で、区域面積の50%以上が        0.23マイクロシーベルト/時以上となる大字

  2「■」=〔1〕以外の大字について、市独自のモニタリング結果で、区域内平均が0.23マイクロシーベルト        /時以上となる大字

  3「□」=0.23マイクロシーベルト/時未満

■図6-18 除染を実施する区域(大字別)

(5)

【計画の見直し】

 本計画については、新たな法整備に合わせた見直しや新技術の導入による見直しなどを踏まえながら、適 宜改定をしていきます。

【除染のスケジュール】

 現在の状況に即した除染のスケジュールは、次のとおりです。(表6-9)

ウ 除染の課題と今後の予定

 これまで、保育・教育施設など子どもの生活空間や比 較的線量の高い地域の本格除染を実施してきたなかで、 特に想定以上に時間を要しているのが、住宅や住宅敷地、 周辺の森林、農地などです。一軒ごとに居住者や所有者 の方と個別に協議を行い、除染方法を決定しながら進め る必要があることや、仮置場を確保するために地域全体 の合意を得る必要があることなど、個々に状況が異なっ ているのがその理由です。

 現在は、北部4地区(久之浜・大久、川前、小川、四 倉)を皮切りに、本格除染の実施区域を順次拡大してい ます。除染の対象は約7,300件。仮置き場などの確保が 容易でなく、進ちょく率は、平成26(2014)年1月末現 在で、約35%にとどまっています。今後、容易に仮置き 場が確保できない地区については、引き続き仮置場に関 する理解と協力を求めるとともに、並行して敷地内に一

時的な現場保管をお願いして、仮置場が確保できた時点において、現場保管から仮置場へ搬出する方法によ り除染を早期に進めます。(写真6-10)

 また、側溝土砂の取り扱いについては、堆積した土砂の放射能濃度がどの程度かを把握し、今後の搬出先 の確保などに向けた基礎的資料として活用するため、これまで市内道路側溝のモニタリングを実施してきま した。

 その結果、ほとんどの場所において除染の基準となる0.23マイクロシーベルト/時を下回っていますが、国の指定

■表6-9 除染のス ジ ール

主な り 平 23 度 平 24 度 平 2 平 2 平 27 度 市内全域モニタリング

測定 プの作測定 など

ータ 新( モニタリング)

除染の実施 除染の実施

除染の実施

整  検  検  検 

先地区の除染(5¯·›¬½¸£ 上、3 圏内を 区)の住 ・ 地、農地、

( 活圏)の除染

ど の 活 の( 施設、 施設、 など)の除染 先地区 の住 ・ 地、農 地、 ( 活圏)および

施設( ど の 活

)、 業施設、 の除染

除染 果を検 し、 の除染が

除染 果を検 し、 の除染が な場 除染 果を検 し、 の除染が な場

■写真6-10 四倉町白岩地内の除染作業状況〔平成25(2013)  年4月 いわき市撮影〕

(6)

② 小名浜港背後地に係る復興整備計画

 小名浜港背後地においては、土地区画整理事業により都市計画道路平−磐城線(通称鹿島街道)を臨港道路 まで延伸するとともに、福島臨海鉄道貨物ターミナルを移転し、その移転跡地である都市センターゾーンの 土地利活用については民間活力の導入を図ることとし、民間事業者公募に向けた広報・PR活動などを実施 してきました。(表6-10)

  東 日 本 大 震 災 後 の 平 成 23(2011)年11 ~ 12月 に は 公 募を行い、都市センターゾーン の開発事業協力者に選定したイ オンモール㈱とパートナー基本 協定を締結し、現在、開発事業 計画の策定に向けた協議を進め ています。

 また、当該地周辺の基盤整備 については、震災復興土地区画 整理事業と併せて津波復興拠点 整備事業を活用し、都市セン ターゾーンおよびアクアマリ ンパークの集客拠点における 津波避難の安全性を確保しつ つ、再度津波が発生した場合に

① 市復興のシンボルと位置づけ

 小名浜港は、市物流の拠点として機能しているだけでなく、アクアマリンパークや漁業工区、さらにはそ の背後に既成市街地などを擁し、産業・観光復興拠点として、いわき市復興のシンボルと位置づけることが できます。市は港湾および周辺地域の一体的な整備・再生が図れるよう、国や県、民間事業者などと連携し て取り組むこととしています。

なお、この重点施策「小名浜港周辺地域の一体的な整備・再生(プロジェクト)」は重点施策の「津波被災 地域の復興に向けた土地利用(プロジェクト)」(11ページに記述)と関わりを持つものです。

⑸  小名浜港周辺地域の一体的な整備・再生

廃棄物の基準となる8,000ベクレル/㎏を超える場所が市内に点在していることから、市北部4地区(久之浜・ 大久、川前、小川、四倉)のうち、まず比較的空間放射線量が高い久之浜・大久地区をモデル地区として、 住宅除染に合わせた道路除染として側溝土砂の処分に着手し、その他の地区についてはモデル地区の検証結 果を踏まえるとともに、仮置き場の確保に最大限の努力を重ね、一日も早い市内全域における側溝土砂の撤 去に向けて取り組むこととしています。

■表6-10 都市 ンター ーンの

ーン ーン

シン ルゲー ーン

・市内結 点らの   点の・市内観光地との による   の整備

市 地 の発 点

) 「シン ルゲー 」 象 な 口の 、「 」 活 、さま まな びの ン プ を たに わい

  点・新たなに わい 点

の確

・市民、来

リン ー らの避難

  の確

・国

■図6-19 小名浜港および背後地の復興イメージ図

(7)

① 浮体式洋上風力発電の実証研究事業

 市は、継続的な雇用の確保や創出を図る観点から、太陽 光、風力、木質バイオマスなど、再生可能エネルギー関連 を中心として産業振興を図ることとしています。

 このうち、市は、国・県と連携しながら、福島県沖で進 められている浮体式洋上風力発電(ウインドファーム)の 実証研究事業を契機として、同発電に関する研究開発拠点 や関連企業の誘致に取り組んでいます。

 実証研究事業の具体的な内容としては、平成25(2013) 年度から同27(2015)年度までの期間中、国内初の本格的 な実証実験により、実用化に向けた基礎データの取得、安 全・経済性などの検証、漁業との共生可能性の調査などを 実施することとしています。

 平成25年度事業として、浮体式洋上風力発電の風車施設

「ふくしま未来」(2メガワット風車1基)を福島県沖合20km付 近に設置。同年11月から実証実験事業として運転を開始 しており、環境や漁業への影響を調査しています。(写真 6-11)

 事業終了後は、福島県沖に民間主導による本格的な風力 発電市場を形成し、日本における風力発電の拠点化をめざ すこととしており、地元漁業者の理解や小名浜港インフラ 整備、経済性の確保という課題を克服することができれば、 事業化に伴う関連産業の集積や新規雇用の創出を図ること ができるものと期待されます。

① 回復基調であるものの、まだ厳しい観光業の再生

 観光交流人口については、東日本大震災前の平成22(2010)年には約1,074万人を数えましたが、平成23

(2011)年は約368万人まで落ち込みました。平成24(2012)年には約734万人と、震災前に比べて7割弱ま で回復しました。このうち、市内観光の宿泊者についても、平成22年には約98万人で、昨年は約71万人と、 7割強まで回復しました。

 しかし、施設によって回復の差が大きく、また宿泊者のなかには復興に係る作業員も含まれており、地域 全体としてみると、風評被害の払拭、観光業の再生には至っていないのが現状です。(図6-20)

⑹  再生可能エネルギーを核とした産業振興

⑺  既存地域産業の再生

おいても、都市機能を維持するための拠点となる市街地の整備を進め、民間施設の整備と一体となり、平成 27(2015)年度末の「まち開き」をめざしています。

■写真6-11 小名浜港に運ばれた浮体式洋上風力発電の風車  施設「ふくしま未来」高さ100m超で、小名浜港で安全祈願  祭・実証実験開始式を行った。 〔平成25(2013)年7月   いわき市撮影〕

(8)

② 農林水産業及び観光の復興をめざして

ア 「いわき見える化プロジェクト」の取り組み  市は、農林水産業及び観光業における原発事故に 伴う風評の払拭を図るため「いわき見える化プロ ジェクト」を展開し、農林水産業や観光業の従事者 をはじめ、農協、漁業および(一社)いわき観光まち づくりビューローなどの関係機関・団体と連携を図 りながら、農林水産物や観光などのPRを行ってい ます。

 取り組みとしては、さまざまな広報媒体を活用し た本市産農林水産物や観光の情報発信、首都圏量販 店における農産物の販売、消費者を対象に本市の現 状や取り組みを実際に見ていただくバスツアーの開 催など。いずれも消費者自身に安全・安心を判断し

【現状・課題】

 〔1〕復興支援を目的とした団体客は多いが、個人、特にファミリー層の回復が遅れている。  〔2〕〔1〕の団体客が減少する傾向がみられる。個人旅行者の誘客対策を強化していく必要がある。  〔3〕風評払拭だけでなく、「えらばれる都市」として必要となる都市ブランド力や知名度の向上。

245 245 88

59 59

180 180 12

12

60 60 55 55 44

54 54 35 35 55

32 32

193 193 55

43 43

170 170 77

52 52

0 50 100 150 200 250

アクアマリンパーク 勿来関 湯本温泉

ハワイアンズ ほるる ゴルフ場

平成22年 平成23年 平成24年

【主な観光地】

1,074 1,074 760

760 441

441 319

319 98

98

368 368 203

203 115 115 88 88 51 51

734 734 490

490 299

299 191 191 71

71

0 200 400 600 800 1,000

観光交流人口 主な施設の 入場者数

(県外)

(県内) 宿泊者数

平成22年 平成23年 平成24年

(万人)

(万人)

■図6-20 いわき市における観光客数などの推移

■写真6-12 新橋駅前SL広場で開催した「復興支援感謝!“いわきの  魚祭り”」「いわき見える化プロジェクト“見せます!いわき”」の一  環として、市や漁業関係団体などで構成した「いわきの魚祭り実行  委員会」が主催となった。〔平成25(2013)12月 いわき市撮影〕

(9)

ウ 今後の取り組み

 今後も、市は首都圏における観光PR、物産品などの販売を通 じた観光誘客、大規模イベント(「いわきサンシャインマラソン など)の開催、大規模会議(平

成27年に開催予定の「太平洋・ 島サミット」)や教育旅行の誘 致などに取り組みます。  併せて、IWAKI観光大使見 習いに就任した「フラおじさ ん」などを活用し、効果的な情 報発信に努めていきます。(写 真6-13、14、15、16)

イ 新たな観光誘致策

 市は平成24(2012)年度から、団体旅行をターゲットとして旅行エージェントのノウハウなどを活かした 効果的な誘客に取り組む「旅行商品販売促進支援事業」および個人手配旅行をターゲットとしてネットクー ポンを活用した「宿泊旅行促進事業」を展開しており、平成24年度は合計で3万2,774人の観光客を誘致し ました。 平成25(2013)年度についても、引き続き同様の事業を展開し、さらなる観光誘客の拡大を図っています。 ていただくための正しい情報、ありのままの「いわき」の“今”を情報発信するとともに、さらには、市内 外の小売・流通業者などと連携を図り、信頼回復と風評の払拭とあわせ、販路拡大に努めています。

 震災後3年目の取り組みとしては、「だから、私は、いわき野菜。」をテーマに、モニタリングをはじめ、 複合的な事業展開を継続しながら信頼を積み重ね、いわき野菜のおいしさを「検証」し、発信しています。  また、いわき沖の沿岸域における試験操業が平成25(2013)年10月から始まったことから、いわきの魚の 安全性を知ってもらうため「いわき見える化プロジェクト」の一環として、市や漁業関係者などが東京でセー ルス・プロモーションを行うなど、正確なデータを示すことによる消費拡大をめざしています。(写真6-12)

■写真6-13 主に首都圏の女性を対象に、  観光プロモーションとして使用したポ  スター

■写真6-15 「いわきサンシャインフェスタ2013」で「太平洋諸国舞  踊祭」を開催 〔平成25(2013)年10月5日 いわき市撮影〕

■写真6-14 いわき市で開催されたプロ野球オール  スターゲーム第3戦〔平成25(2013)年 7月22日  いわき市撮影〕

■写真6-16 IWAKI観光大使  見習いに就任した「フラお  じさん」〔平成25(2013)年  4月12日 いわき市撮影〕

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① さまざまな復興特区制度を活用

 市内の経済をさらに活性化させるため、企業誘致に積極的に取り組むとともに、復興特区制度を有効に活 用して、税制上の優遇措置や各種規制緩和を講じるなど、企業の安定経営と企業の新たな立地を促す仕組み づくりに取り組むこととしています。

 国の認定を受けた特区の内容は、次のとおりです。

ア ふくしま医療関連産業復興特区(平成24年3月認定)−県単独申請・県内全域対象

イ ふくしま産業復興投資促進特区(平成24年4月認定、平成25年8月、農林水産業について追加認定) 

−県と本市を含む県内59市町村の共同申請により、市 内では235件(203事業者)が指定(平成26年2月1日 現在)を受けています。(写真6-17)

ウ 県保健・医療・福祉復興推進特区(平成24年4月認定)

−県単独申請・県内全域対象

エ 県確定拠出年金復興特区(平成24年8月認定)−県 と本市を含む県内59市町村の共同申請

オ サンシャイン観光推進特区(平成24年11月認定)− 本市単独申請。対象とする業種は8業種で、42事業所 45件(平成26年2月1日現在)が指定を受けました。 カ 復興特区支援利子補給金関係(平成25年2月・11月

認定)−本市単独申請

⑻  企業誘致対策

イ 情報発信や交流会開催など、市外避難者への支援

 東日本大震災や東京電力㈱福島第一原子力発電所事故によって、多くの人が市外に避難しました。住民票 を異動せずに市外に避難しているいわき市民(原発避難者特例法の避難住民)は、平成24(2012)年3月31

① 原発避難者の受け入れと市外避難者への支援

ア 市が「原発避難者特例法」に基づく「指定市町村」へ

 平成23(2011)年8月12日、「原発避難者特例法」が公布され、同日に施行されました。目的としては、  〔1〕市町村の区域外に避難している住民(避難住民)に対する適切な行政サービスの提供

 〔2〕住所を移転した住民と元の地方自治体との関係の維持

という二つの課題に対応する措置を定めたもので、双葉郡のほか、いわき市など県内13市町村が指定されま した。これら市町村から住民票を異動せずに避難している住民を受け入れた場合は、避難者に対する一定の 行政サービスについて、提供が義務づけられており、避難者は避難先自治体から行政サービスを受けること ができます。

 いわき市の場合は、市民が関東圏を中心に市外へ避難している一方で、多くの避難者を受け入れる立場と もなっており、このことが他市町村と大きく異なる状況を呈しています。

⑼  被災他自治体との連携強化

② ふくしま産業復興企業立地補助金

 また、県の「ふくしま産業復興企業立地補助金」については、平成26 (2014)年2月1日現在、市内で68 件が採択を受けており、新規雇用者数は約931人となっています。

 これら特区と補助金の優遇措置を併せて活用することにより、企業の増・新設を促し、被災者などの雇用 につながるものと期待されています。

■写真6-17 復興特区制度を活用して製造ラインを整備(好  間中核工業団地「㈱いわき精機」) 〔平成25(2013)年8月  いわき市撮影〕

(11)

 市は平成23(2011)年12月、原発避難者特例法に基づき、「いわき市特定住所移転者に係る申出に関する条例」 を制定し、市外への避難者に対して、避難先における生活の不安解消と、一日も早くふるさと「いわき」へ 戻ってもらうことを目的として、県事業「ふるさとふくしま帰還支援事業」を活用し、広報いわき、生活支 援パンフレット、放射線量測定結果・除染などの取組状況など、いわき市の情報を毎月郵送しています。ま た、県事業「ふるさとの絆電子回覧板事業」を活用し、デジタルフォトフレームによる各種情報の配信を行っ ています。

日には4,243人を数えましたが、その後は減少で推移し、平成25(2013)12月1日には2,235人となりました。  避難先の内訳をみると、関東地方が64.1%を占め、とりわけ東京都は関東地方の約49.3%、全体のなか でも約31.6%を占めています。(図6-21)

■図6-21 避難住民の避難先と人数の推移

(12)

イ 応急仮設住宅から復興公営住宅へ

 応急仮設住宅(建設主体=福島県)は、市内で津波被害を受けた沿岸地域に住む住民のためだけでなく、 東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故によって、双葉郡からいわき市へ避難した多くの住民(広野町、楢 葉町、大熊町、富岡町、双葉町、川内村の5町1村)のために、相次いで市内各所に建設されましたが、早 期に避難者が安心して生活できる環境づくりのため、平成25(2013)年11月には、県営による復興公営住宅 の起工式が現地の小名浜地区で行われており、ほかにも常磐地区で工事が始まっています。

ウ 町外コミュニティの協議

 居住を制限された双葉町村などからは多くの住民 が避難し、市内への避難者数は平成23(2011)年11 月には2万人を超え、現在は約2万3,000人が居住し ています。

 このように、多くの避難者を受け入れていること から、市は国に対し避難者の受け入れ側としての特 殊な状況を考慮するよう、要請しました。

 このうち、財政支援については、避難者1人当た りの標準的な受け入れ経費として、標準的な行政経 費を積み重ねた単価が年間約4万2,000円と算定さ れ、避難者数に応じて国からの特別交付税を得るこ ととなりました。

 また、長期避難者などの生活拠点として整備する

「町外コミュニティ」については、浪江、双葉、大熊、 富岡の4町が「いわき市」を対象に希望しています。

(写真6-18、19)

 具体的な町外コミュニティのあり方については、 受入自治体の事情に応じた生活拠点の確保・整備に ついて検討する「長期避難者等の生活拠点の検討の ための個別協議」(国・県・避難元4町・本市)や 避難者と周辺住民との交流の場の確保・心のケアな どを検討する「コミュニティ研究会」(国、県、避 難元自治体など)などにおいて協議を進めています。

② 双葉郡町村との共生を模索して

ア 双葉郡の町出先機関がいわき市に設置

 福島第一原子力発電所の事故により、法的に居住できない区域などを持つ双葉郡内の5つ町では、多くの 住民がいわき市内に建設された応急仮設住宅や民間借上げ住宅などに入居していることから、市内の各所に 役場の支所や出張所などを設けて町民の便宜を図っています。

7 大規模災害に備えて

⑴  原子力災害の備え

① 1.市地域防災計画(原子力災害対策編)の策定とガイドブックの配布

 市は、平成25(2013)年3月、市防災会議において「市地域防災計画(原子力災害対策編【暫定版】)」およ び「原子力災害避難計画【暫定版】」を策定し、県に報告しました。

■写真6-18 清水新市長が、双葉8町村の首長と初めての会談を開催  〔平成25(2013)年10月7日 いわき市撮影〕

■写真6-19 いわき駅南口広場前で行われた「いわき光のさくらまつ  り」点灯式(いわき、南双葉、浪江の青年会議所が主催) 〔平成25  (2013)年12月 いわき市撮影〕

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